カービングターンを練習しているのに、なかなか形にならない。
何本も滑って、頭の中で動きを確認して、また滑る。それでも、思い描いているターンには近づかない。
もっと練習が足りないのかな、と。
そう感じている人は多いと思います。僕もこの動画を見るまでは、上手くなるには本数を重ねるしかないと考えている側でした。
今回紹介する動画では、何人かが同じ日に滑りながら、カービングがどんどん変わっていく様子が映っています。「追い撮りも合わせて全部で5本くらいしか滑っていない」のに、別人のようになっている場面もあります。
その変化の裏で何が起きていたのかを、動画の流れに沿って整理してみます。
ダックでカービングするセッティングの話
動画の最初は、前振りのセッティングでカービングをするところから始まります。
話している方のセッティングは、前足を24振っていて、後ろ足は0です。後ろ足が3入ってくると前振りになる、という話をしていて、本人の中ではこれは「ギリダック」だそうです。
面白いのは、ダックという言葉の捉え方です。
この方のイメージするダックは、18・18や9・9のように両足を振っている状態。24振っていて後ろも振っていたら、それはもうガニマタになる、とも言っています。
ただ、その辺りの定義ははっきり分からない、あくまで自分の中では、という前置き付きです。
ダックカービングという言葉は、人によって指しているセッティングがかなり違うのかもしれません。調べていて混乱したことがある人は、この話を一度頭に入れておくと整理しやすいと思います。
カービングのスピードは一緒に滑る人で変わる
次に、一緒に滑っている方に「気持ちいいスピードで滑ってみて」と声をかけて、何本か滑る場面があります。
1本目のあと、本人は「あんまり速くなかった」と言いますが、周りからは「めちゃくちゃ速い」と言われています。それでいて、まだもっと攻められる感じがする、という話にもなっています。
ここで出てくるのが、一緒に滑る人は大事、という言葉です。
次の1本では、動きがイメージに近づいて、スピードはさらに1.5倍くらい速くなっていたそうです。後ろから追いかける側が「これ以上出されたら、一生懸命やらないとついていけない」と言うほどです。
横に切ろうとする癖に気づく
この時、滑っていた方は「途中から、別に横に切らなくてもいいかと思った」と話しています。
それに対して「なぜか横に切りたがってた」「呪われてますね」と返されています。
動画の中では、この「呪い」という言葉が何度も出てきます。自分でも気づかないまま染みついている思い込みのようなもの、という意味で使われているように見えます。
カービングで思うようにスピードが出ない時、技術そのものより、こういう「なぜかやってしまう動き」が邪魔をしていることもあるのかもしれません。
動画を撮る・撮ってもらうのが成長の鍵
動画の中で、自分の思いつく練習やイメージしているだけでは、なかなかここまでたどり着けない、という話が出てきます。
1人で滑るスノーボードにも良さはある。でも、動画を撮ってもらったり、相手の滑りを撮ったりするのは、ものすごい成長の鍵になる、と。
追い撮りをしていた側も「自分も成長している気がする」と話していて、滑る側だけでなく撮る側にも変化が出ていたのが印象的でした。
上手くなった後の最後の1本は「頑張りすぎない」
最後の1本の前に、こんな声かけがあります。
1本目と比べて強くなっているので、力を入れると大事故になる可能性がある。だからコントロールしつつ、気持ちよく滑ることをテーマに、頑張りすぎない感じで。
上達してきた時ほど力みやすいので、この一言は覚えておきたいところです。
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ビッテリーのためにセッティングを変える
後半は、別の方がビッテリーに取り組む場面です。
すでにある程度できているけれど、まだ納得がいっていない。もう少し「ぽく」行きたい。そのために、それができるセッティングに変えてもらっています。
1本前は後ろ足3の前振りで、もうでき始めていたそうです。そこから急斜面でやるなら、ということで後ろ足を9にして、だいぶ前振りのセッティングにしています。
カービング向けの板やウェアでなくてもできる
この時の道具についても触れられています。
ツインの板で、パークボード。センターでセットバック0。ウェアもペラペラのもので、全身を見てもカービングしやすい格好には見えない、という話です。
それでも動画の中では、見ていた側が「あんなターンできたことないよね」と言うほどの滑りになっています。
道具の違いを知っておく理由
ここで大事な話が出てきます。
どんな道具でも、どんなセッティングでも、自分が強ければ結局はできる。けれど、違いが分かっていた方が楽しい。こういう時はこれの方が楽しい、と分かっている方が絶対にいい。
だから、自分を鍛えつつ、道具の性能の違いやセッティングの違いをどんどん調べていってほしい、という流れです。
道具にこだわるか、自分を鍛えるか、という二択ではなく、両方を並べて扱っているのがこの動画らしいところだと感じました。
板を倒してから、戻る場所を探す
滑っている最中のアドバイスもいくつか出てきます。
もっと適当に立ってみる。倒してから探してみる。どこかで戻れるから、グッとグリップすればいい。
また、トゥサイドのビッテリーをどれだけ綺麗にできるかで、ヒールも決まる、という話もありました。
この方はヒールの方が上手くて、トゥサイドはヒールほど倒れていない、と指摘されています。本人はトゥサイドの方が掘れていると感じていたようで、「自分の良さに気づけていない」とも言われていました。
自分の得意・不得意の感覚と、外から見た実際の滑りがずれていることはよくあります。ここでも、撮ってもらう意味が出てきます。
できたら、次のやりづらさを探す
もう一つ、耳に残った話があります。
現状に満足した瞬間に終わる。できたら、もう次に行かないとだめ。気持ちよい状態にずっといないで、また別のやりづらさを探す。たとえば目をつぶってみるとか、そういうレベルからでいい。
できた状態に留まらず、あえて難しさを足していく考え方です。
この記事の内容は、上の動画で話したことをまとめたものです。声のトーンや実例も含めて聞きたい方はこちらから。
急斜面用のセッティングと、ショートターンの難しさ
話し手自身が滑る場面では、自分のセッティングについても説明しています。
以前のナイターの時は36・12で、スタンスは53cmくらい。今日はそこから4cm縮めて49cmにしている。そしてバインディングの一部の位置を1つ上げて、急斜面だけにセッティングを合わせている、とのことです。
その分、緩斜面では何もできないと思う、とも言っています。
どこでも何でもできるセッティングではなく、滑る場所に合わせて振り切っている、という考え方です。
また、このセッティングと当日のコンディションなら、ずっとターンをつなげていっても何とかなってしまう。でも、ショートターンになった途端、ハイスピードだと難しくなる。そこで今度はスピードを抑えつつ、急激に曲がる、という滑りに切り替えています。
カービングで飛んでしまう怖さ
この方は、ターン中に何度も飛んでいます。
ふざけていると思われることもあるそうですが、本人の気持ちとしては、キッカーでやられた時くらい怖い、とのこと。見ていた側は「キッカーを自分で生んでいるみたい」と表現していて、本人もオーリーとかではない気がする、と話しています。
ハイスピードのカービングにはこういう怖さもある、という点は頭に入れておいた方がよさそうです。
疲れてからが鍛えどき
昼ご飯のあと、あと2本ずつ滑って帰る、という場面での話です。
精神と体が緩んだところからが、一番鍛えられるタイミング。もう滑りたくないかもと思ったところからが勝負。今日はもう満足、という状態から、滑り始めた瞬間にどれだけ一気にトップギアに持っていけるか。それが頭の練習だ、と。
食べて眠くなったら動かないかも、というのも脳の問題だ、という話もしていました。
3回やってできなければ、練習をやめて原因を探す
動画の最後に、この日の話をまとめるような内容が出てきます。
一緒に滑っていた方が簡単そうに滑れるのは、前提があるからだそうです。道具を使って、勉強して、鍛えている。そうすると、普通のことならほぼ全部、今のベースでパッとできてしまう。
そのうえで、これから上手くなりたいならどうするか。
やりたい技は、まず3回やってみる
やりたい技があったら、とりあえずやってみる。3回ぐらいやってみる。
それでできなければ、練習しない方がいい。一度やめて、原因を探した方がいい、という話です。
原因の候補として挙げられていたのは、次のようなものです。
道具 セッティング 雪質 スピード 自分の体的にもう無理なのか
原因が分かれば、それを直せばいい。そのために道具選びやセッティング、道具の違いを勉強させている、という流れでした。
100回やる練習は、忙しい人には合わない
ほとんどの人は、練習が足りないから、と100回やればいつかできる、というやり方をしている。動画ではそれを「脳筋プレイ」と呼んでいます。
別に100回やってもいい。暇な人は。でも忙しいから、1つの技に100回もかけていられない。
だから原因をパッと見つけて、そこを改善して、できました、とする。実際にこの日、1本でできるようになった場面を指して「すぐでしょ」と話していました。
冒頭で書いた「もっと練習が足りないのかな」という感覚。それ自体が、この動画でいう遠回りなのかもしれません。
まとめ
- ダックカービングの「ダック」が指すセッティングは人によって違う。動画の話し手は、前24・後ろ0を「ギリダック」、18・18や9・9をダックのイメージとして挙げている
- 一緒に滑る人や、動画を撮る・撮ってもらうことで、少ない本数でもカービングのスピードや動きが大きく変わる場面がある
- 気づかない「横に切りたがる」ような癖が、滑りを止めていることがある
- 道具やセッティングが何であれ、自分が強ければできる。ただ、違いを知っている方が楽しく、自分を鍛えることと道具を調べることは並行してやる
- できたら満足せず、次のやりづらさを探す
- 疲れて気持ちが緩んだところからが、頭の練習のタイミング
- やりたい技は3回ほどやってみて、できなければ一度やめる。道具・セッティング・雪質・スピード・自分の体のどれが原因かを探して、そこを直す
自分の場合はどうなのか
ここまで書いてきたことは、あくまで一般的な話です。
実際は、体つきも、道具も、滑ってきた時間も人によって違います。自分の場合はどうなのか、どこから手をつければいいのか。個別に見てほしいという方は、レッスンをやっています。下のどちらからでも受け付けています。
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内容や日程の相談だけでも大丈夫です。滑っている動画を送ってもらえれば、それを見たうえでお返しします。
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