オリンピックを見て、自分も飛んでみたくなった。
そういうスイッチ、入りませんか。
テレビの中で、みんな当たり前みたいにやっている。見ているうちに、あれくらいなら自分にもできるんじゃないかという気持ちが少しずつ育ってくる。
実際に、シーズン終わりにデカいキッカーを飛びに行ってきました。
結論から言うと、めちゃくちゃ難しかったです。
「オリンピック見て飛べそうと思った」人にまず伝えたいこと
今回飛んだのは、自称14mのキッカーです。去年もあれだけ14mありますと言われていた場所で、今年もあるらしいということで行ってきました。
14mと聞いて、どう感じますか。
僕は正直、行く前は「まあ飛ばないとでしょ」くらいの気持ちでした。せっかく来たんだから飛ぶでしょう、と。
で、実際に上に立って思ったのは、これ普通に難しいということです。
ビッグキッカーというのは難しいんです。オリンピックを見て、できると思っているかもしれないけれど、むずいんですよ本当に。
オリンピックのキッカーはこれの倍あります
スケール感の話をしておきます。
僕が飛んだのが14mくらい。オリンピックは30くらいです。倍です。
しかもスロープスタイルの女子とかで「届かない、届かない」と言っている場面がありますよね。あれ、20飛んで届かないと言っているわけです。それでも足りないと言っている。
その世界の人たちがやっているものを見て、一般人が「あれくらいなら」と思ってしまうのは、まあ分からなくもないんですが、距離としてはそれくらい離れています。
見てる分にはめちゃくちゃ簡単そうに見えるんですけどね。それも含めて彼らがすごいという話です。
週末ボーダーになると、ペースが変わる
今回滑ったのは、1時から3時までの2時間だけ。今シーズン、この高原に来たのはこの日が1回目でした。そして多分、今シーズンのラストジャンプです。
昔と比べて明らかに変わったのが、ペース配分です。
今までだったら、ストレートジャンプを何本か飛んで、3を入れて、それからセブン、みたいな順番で組み立てていました。いつでも滑りに来られたので、時間に余裕があったんです。
でも今は週に1回です。だから間を省略して、どんどん先に進んでしまう。
この日も、ストレート、3、で3本目にはもうフロントセブンを考えていました。
自分でも、これは怪我する側のスノーボードに切り替わっていくやつだなと思っています。正直マジで心配です。週末ボーダーの怪我するパターンって、まさにこれなんですよね。
準備だけは、いつも以上に必要
そのぶん、飛ぶ前の準備には時間をかけるようになりました。
いつものやつです。週末ボーダーだからこそ、いつも以上にこの準備が必要になる。
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実際に飛んでみて起きたこと
ここからは、当日その場で起きたことをそのまま書きます。
1本目、回りすぎた
最初のジャンプは、回りすぎました。
スピードを出しすぎたんだと思います。だいぶ飛んでいて、途中で「これ回したら危ないかも」となってしまった。
ただ、気持ちは良かったです。楽しかった、というのが最初に出てきた感想でした。
面白いのは、飛んだ直後は「飛びすぎじゃないか」と思うくらい飛んだ気がしていたのに、あとから見直したら別に大して飛んでいなかったことです。高さは出ていたけれど、距離は普通、ちょうどよかった。
自分の感覚と、実際に映っているものはけっこうズレます。
セブンは回った。でも「落ちながら」だった
次はキャンセルせずにかける、と決めて入りました。
正直、怖かったです。回りきらないんじゃないかと思いながら飛んだんですが、意外と回りました。
ただ、回り方が独特で、上に飛んで、落ちながら最後に回った感じでした。オリンピックとかで見る、前や奥に飛んでいって回していく形とは全然違う。落ちる時間があるから、その分足りた、というのが実感に近いです。
なので、こういう言い方になります。
キッカーで遠くに飛びたい人ではなくて、上に飛んで、めっちゃ落ちたい人。落下系の絶叫マシンが好きな人には、ここのビッグはおすすめです。
高さは出るのに、横の回転が作られない
とりあえずセブンは回りました。かけられました。
で、次の問題が出てきます。
このキッカーは結構アップ系なんです。がっつり上に上げてくるタイプ。
そして僕の癖として、フロントで上に伸びる癖があります。それにリップのぶち上げが加わると、自分としては「めっちゃ上げられてる」状態になる。
高さは出ている。でも、横の回転が全く作られていない。
空中で「あ、足りない」となって、その回は着地を諦めました。
原因ははっきりしていて、上方向の力ばかりが強くて、回転の方向に力がいっていないんです。
「自分に合わせる」から「山に合わせる」へ
正直に言うと、もうちょっとリップを寝かせてほしい、という気持ちはあります。
去年は自分でキッカーを作っていたので、自分に合わせられました。このくらいの角度、と自分で決めてやっていた。それが今、こういう形で返ってきているわけです。
でも、山に来たらそこに合わせないといけない。作られているものに自分を合わせる側に回る。
回ることは分かったので、あとは横をちゃんと作るだけです。
腕を振れていなかった
もうひとつ、当日気づいたことがあります。
安全に飛び出すことだけを考えていたので、多分ほとんど腕を振れていませんでした。これくらいしか振っていない、という程度です。
セブンなら、もう少し振った方がいいとは思います。ただ、振りすぎると下も動いてしまう。そこのバランスが難しいところです。
最後は、やめました
その後、ランディングで9回っているっぽい状態になりました。
自分がどこにいるか分からない。上に行って下に行ってがすごくて、方向感覚が飛んでしまう。最後だけ頑張って立とうとはしてみたんですが、全然無理でした。
そこで「やめとこう、怪我するわ」となりました。
そろそろヘッドスライディングか、というところまで来ていたので、危ない。
なので、ストレートジャンプからもう一回ちゃんと練習しよう、というところに戻しました。
この記事の内容は、上の動画で話したことをまとめたものです。声のトーンや実例も含めて聞きたい方はこちらから。
こういう時こそグラブする
うまくいかない中で、ひとつはっきり分かったことがあります。
こういうきついリップが来た時は、グラブしないといけない。
伸びていたら、もうマジで無理です。何もできなくなる。上に上げられて、体が伸びきったまま空中に放り出されると、そこから修正する手段がなくなります。
だから掴む。
これは頭では分かっていたことなんですが、実際に上げられて何もできない状態を味わうと、意味の重さが変わります。
フロントセブンは、簡単そうに見えるだけ
最後にこれだけは言っておきたいです。
フロントセブンって、難しいんです。
みんな簡単そうにやっているように見えるし、実際そう見えてしまう。セブンじゃもう勝てない、みたいな空気すらある。でも本来は、これくらい大変な技です。
オリンピックで見ているものは、その大変な技を大変に見せないところまで仕上げた人たちの映像です。だから簡単そうに見える。
見て「飛びたい」と思うこと自体は、いいことだと思います。
ただ、実際に立ってみると、テレビで見ていたものとは全然違う顔をしています。その落差を知った上で入るのと、知らずに入るのとでは、たぶん結果が変わります。
まとめ
- オリンピックのキッカーは30くらい。今回飛んだ自称14mのキッカーの倍のサイズで、スロープスタイルの女子が20飛んで「届かない」と言っている世界の話
- 週末ボーダーになると、ストレート→3→セブンの間の段階を省略して先に進みがちになる。これが怪我につながるパターンなので、飛ぶ前の準備には昔以上に時間をかける
- 飛んだ直後の「飛びすぎた」という感覚と、あとから映像で見た実際の距離はズレる。高さは出ていても距離は普通だった
- アップ系のキッカーとフロントで上に伸びる癖が重なると、高さは出るのに横の回転が作られず、空中で足りないとなる
- 去年は自分でキッカーを作って自分に合わせていたが、山では作られているものに自分を合わせる側になる
- 安全に飛び出すことだけを考えていると腕が振れなくなる。ただし振りすぎると下も動く
- きついリップで上げられた時、体が伸びていると何もできない。こういう時こそグラブする
- 自分がどこにいるか分からなくなったら、そこでやめてストレートジャンプから練習し直す
自分の場合はどうなのか
ここまで書いてきたことは、あくまで一般的な話です。
実際は、体つきも、道具も、滑ってきた時間も人によって違います。自分の場合はどうなのか、どこから手をつければいいのか。個別に見てほしいという方は、レッスンをやっています。下のどちらからでも受け付けています。
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