板が硬い? 板を変えずに板が柔らかくなった話

板が硬い? 板を変えずに板が柔らかくなった話 ギアの話

板が硬くて、ノーズプレスが上がらない。

そういうこと、ありませんか。

その場でノーズプレスをやってみる。テールプレスもやってみる。キープしようとするけど、思ったところまで上がってこない。板が硬いんだろうな、と思う。実際、見ている側から「板硬そうやな」と言われることもある。

だったら柔らかい板に買い替えるしかないのかな、と。

僕も、板の硬さの話になると「じゃあ道具を変えるしかない」で終わらせがちでした。でも先日、そうじゃない場面を見ました。

板は一切変えていない。滑り方も教わっていない。それなのに、同じ人が同じ板で、さっきより上がるようになる。そういう会が実際にありました。

その場でノーズプレス・テールプレスをやってもらうところから始まった

参加者に、1人ずつその場でノーズプレスとテールプレスをやってもらう。そしてキープしてみる。

平らな場所ではなかったので、条件としては完璧ではありません。それでも順番にやってもらうと、それぞれの「上がり方」が見えてきます。

そこで出てくるのが「板硬そうやな」という感想です。板の硬さの話として処理される瞬間です。

普通ならここから、板を変えるか、フレックスの柔らかいモデルを探すか、という話になります。

「怪しいやつ」をやってから、もう一度同じことをやってもらった

やったのは、板の話ではありませんでした。

参加者に「怪しいやつ」をやってもらいます。その上で、もう一度さっきと同じノーズプレス・テールプレスをやってもらう。

結果は、その場で笑いが起きるくらい分かりやすいものでした。

「板柔らかくない?」「確かに」

映像で見ても全然違う。さっきより上がっている。同じ板です。滑り方の指示も出していない。

2つ目をやると、一発でいいところに乗れるようになった

さらに「怪しいの」を追加します。

そこからの変化は、上がる量だけの話ではありませんでした。1つ目のときは「すごく上がったな」という変化でしたが、2つ目をやったあとは、一発でいいところに行けている。

踏むところを探すような動作がなく、ビシッと1回で乗れている。

これについては、左右の足の力具合みたいなものが均等化する感じではないか、という話が出ていました。ただ、それも「僕はちょっとよく分からないんだけど」と添えられていて、仕組みまで断定されてはいません。

苦手側でも同じことが起きた

面白かったのは、苦手な側でも同じだけできていたことです。

多くの人は、どちらか一方の向きのほうがやりやすいはずです。それでも、反対を向いてもらって同じようにやってもらうと、同じように上がる。キープもできる。

得意側だけが良くなったのではなく、苦手側も含めて変わっている。ここが、単に調子が良かっただけでは説明しづらいところでした。

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教えていないのにオーリー3・オーリー5に届いてしまった

変化はプレスだけでは終わりませんでした。

流れでオーリー3をやってもらうことになります。しかも、グラトリを始めてリフト2本目という人も含めて。

回る量が足りている。さっきより回っている。中には、オーリー3自体をやったことがない人が、めっちゃ回るようになっていました。

セットバックの効いたガチガチの板の人でもです。「鬼セットバックでガチガチの板」と言われるような条件で、それでも回っている。

スピードが早くなっても回っている。そこから「自然に5が見えてきたな」という状態になっていきます。

ここは正直に書いておきたいのですが、スピードを出した中で、硬いバーンでオーリー5を打つというのは、普通は怖くてできないことです。それが「もう全然いける」になっている。

そしてこの間、技術的なことは何も教えられていません。「教えてませんよ僕何も」というのが本人の言葉です。

この記事の内容は、上の動画で話したことをまとめたものです。声のトーンや実例も含めて聞きたい方はこちらから。

参加者の感想が、いちばん状況を表していた

やっている本人たちがどう感じていたのか。そこが一番参考になります。

「あれだけで安定するのか」

同じ名前の参加者の方は「なんだろう、あれだけであ安定すんのみたいな」と話していました。もう明日も滑りたくなった、とも。

この方は、セッティングや道具の違いが分かるタイプ。板の特性を分かっていて、普段はスピードを出して、縦に落としていくラインを取る滑り方をしている。

その人が言っていたのが、ターンの変化でした。今までよりもグイッと曲がれるようになった、と。

以前は板が立っていなかったわけではなく、立ってはいるけれど、サイドカット通りのターンしかできない状態だったそうです。大回りになって、立て気味になる。

それが、この日やったことのあとは、いつもより小さい半径で曲がれるようになった。普段よりも板が立っている可能性がある、という話になっていました。

本人の言葉では「圧に負けがなくなった」という感覚です。

「板を立ててください」とは、多分言っていない

ここが引っかかるところだと思います。

やり方は教えていない。「こうやって板を立ててください」というようなことも「多分やってないですよ」というやりとりでした。滑りの中の体の使い方についても、本人は「全然聞いてないですね」と答えています。

スノーボードとしては何もしていない。それでこれだけ変わる。

だとしたら、こっちのほうが楽でいいですよね、という話になります。技術を1つずつ積み上げる以外の入口が、少なくとも1つはあるということです。

苦手なバックサイドの壁でも変化があった

もう1人、トランポリンに通っている参加者の方の話です。

バックサイドの壁が苦手で、右側は得意だけど左側が全然ダメ、という状態。それが、この日は入り方の参考になったと話していました。

ここでも「別に何にも教えてないけど」「まあライン見るだけ」というやりとりです。

そしてこの方も、一番効果があったのは「怪しいやつ」だったと言っています。どれが一番だったかを聞かれて、みんなと同じものを挙げていました。

良くなっているときは、意外と分からない

ここは覚えておきたいところです。

いろいろ実験してきた中で言われていたのが、良くなっているときはあんまり分からない、ということでした。

分かるのは、悪くなったときです。「あれ、こんなに良かったっけ」と、そこで初めて気づく。

だから、変化を感じられなかった人が鈍いわけではありません。実際、参加者の中には「ちょっとは感じたけど、他の人らのほうが感じてる感じがした」と話していた方もいました。

それに対しての返しが「めちゃくちゃ個人差ある」「割と気づかない才能があるタイプ」というものです。そして、気づいたから偉いとかでもない、と。

感じ方の差は、効果の有無とイコールではない。ここは切り離して考えたほうが良さそうです。

「怪しい」と言われる理由も、隠されていなかった

この会の面白いところは、やっている側自身が「怪しいやつ」と呼んでいることです。

参加者も、並ばされた時点で「やべえの始まった」と思ったと話しています。実際に「怪しかったですか」と聞かれて「そうすね」と答えている。

見た目が怪しいことを否定せずに、そのままやる。そして結果だけ映像で見せる。

技術が要るのか、という問いに対しては「これ技術いります?」「いらないよね」というやりとりでした。

だから、何か特別な運動能力が前提になっているわけではなさそうです。少なくともこの日は、リフト2本目の人まで含めて変化が出ていました。

板が硬いと感じたとき、疑う先は道具だけじゃない

まとめに入る前に、この日いちばん引っかかったところを書いておきます。

同じ板で、同じ日に、同じ人が、上がり方もターンの半径も変わっている。しかも滑り方は教わっていない。

ということは、あの「板が硬い」という感覚のうち、いくらかは板そのものではなかった可能性がある、ということです。

もちろん、板のフレックスは実在します。硬い板は硬い。それは変わりません。

ただ、板を踏む側の状態が変わると、同じ板の感触が変わって見える。そういう場面を、この日は映像込みで見た、というのが正直なところです。

だから、板が硬くて上がらないと感じたときに、いきなり買い替えを考える必要はないのかもしれません。買い替えの前に確認できることが、まだ残っている可能性があります。

まとめ

  • その場でノーズプレス・テールプレスをやると「板硬そうやな」と言われる状態だった人が、同じ板のまま上がるようになった
  • 変わったのは板ではなく、「怪しいやつ」をやったあとの本人の状態。滑り方の指示は出していない
  • 2つ目をやると、上がる量だけでなく、踏むところを探す動作がなくなり、一発でいいところに乗れるようになった
  • 得意側だけでなく、苦手側でも同じように上がってキープできていた
  • 技術を何も教えていないのに、グラトリを始めてリフト2本目の人まで含めてオーリー3が回るようになり、オーリー5が見えてきた人もいた
  • ターンでは「圧に負けがなくなった」「いつもより小さい半径で曲がれるようになった」という感想が出た
  • 効果の感じ方には個人差が大きく、気づきにくい人もいる。良くなっているときは分かりにくく、悪くなったときに初めて気づくことが多い
  • 「板が硬い」と感じたとき、原因が板だけとは限らない。買い替えの前に確認できることが残っているかもしれない

自分の場合はどうなのか

ここまで書いてきたことは、あくまで一般的な話です。

実際は、体つきも、道具も、滑ってきた時間も人によって違います。自分の場合はどうなのか、どこから手をつければいいのか。個別に見てほしいという方は、レッスンをやっています。下のどちらからでも受け付けています。

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ここには書けない実際の事例や、細かいところはメンバーシップのほうで話しています。

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