昼ごはんを食べに食堂へ入るとき、板を立てかけてワイヤーロックをかけますよね。
かけながら、心のどこかで少し気にしていませんか。これで本当に大丈夫なんだろうか、と。
でも、かけたからには大丈夫ということにしないと落ち着かないので、そのまま食堂に入る。1時間くらい経って戻ってきて、板がちゃんとあるとほっとする。
その気持ち、よく分かります。僕もずっと、盗まれるという話は聞いていました。
ただ、そのワイヤーロックが実際にどのくらいの強さなのかを一度調べてみたら、思っていたのとかなり違いました。今日はその話をします。
スキー場での板の盗難は毎年起きている
毎年、スキー場でスノーボードの盗難が起きています。
盗まれた板がそのまま転売されるパターンもあるようですし、最近だと保険金が目当てで、板そのものは捨てられてしまうという事例もあるらしいです。手口はだんだん巧妙になってきている、という話も聞きます。
ただ、手口が巧妙になっているとはいえ、犯人が絶対に通らなければいけない場所がひとつあります。
スキー場で板を持っていかれる、その最初の瞬間です。
ここを通らずに盗むことはできません。逆に言えば、この一番最初のところさえ防げていれば、そのあと盗まれるタイミングはもうないわけです。
だから僕は、ワイヤーロックをかけて安心してしまうのが一番危ないと思っています。
ワイヤーロックは道具ひとつで切れてしまう
僕は去年、ワイヤーロックがどれだけ簡単に切れるのかを自分で試してみました。
いろんな道具を用意して、順番に試していこうと思っていたんです。
ラジオペンチで一発でした
一番最初に使ったのが、ラジオペンチです。工作なんかで使う、たぶん多くの人が見たことのあるあの道具です。
一発でした。
しかも「ガチン」みたいな重い手応えではなくて、「パチン」です。プツン、プツンと切れます。
僕が試したのも特別に安いものではなくて、Amazonで「ワイヤーロック」と調べると出てくる、1600円とか2000円とかの、ベストセラー1位みたいな、めちゃめちゃ売れていますという類のものです。それでそのレベルでした。
細いものは、そもそも切られやすい
理屈としては単純な話だと思っています。
ハサミにしてもペンチにしても、開いて閉じて使う道具です。目一杯開いた状態で、その歯の開いている部分にはまらない太さのものは、かなりのパワーがないと簡単には切れません。
ワイヤーロックはめちゃめちゃ細いです。太さは1cmもないと思います。
そうなると、どんな道具でも入ってしまう。極端な話、ハサミでも力の強い人なら切れてしまうくらいの細さです。
やるとしたら、太めの自転車のタイヤチェーンみたいなもののほうが、まだマシだと思います。
そもそもビンディングを外されたら終わりです
もうひとつあります。
ワイヤーロックって、スノーボードのビンディングに通しますよね。ビンディングと、板を立てる場所のどこかとを繋いだりすると思います。
だとしたら、最悪ビンディングを外して持っていかれたら、それで取られてしまいます。
こういうことを言うと、お前は犯人なのか、盗んだことがあるのか、みたいに言われることがあります。でも僕は盗んだことはありません。
ただ、盗まれたことがない人でも、どうやったら盗まれるのかなと想像することはできるはずなんです。想像さえすれば、このくらいのことは出てきます。
名前を書く、GPSやAirTagをつける、も考えました
じゃあ何をすればいいのか。僕もいろいろ考えてきました。
去年ずっとやっていたのは、ソールに名前を書くことです。
ステッカーだと、頑張れば剥がせてしまいます。でも板の裏側に大きく名前が書いてあったら、そういう板はなるべく狙わないと思うんですよね。転売が目的だとしたら、まず落書きしてある板は選ばない。新しくて綺麗で、売れ筋の人気のある板を狙うだろうと思います。
滑っている間は裏側なんて見えないんだから、名前が書いてあっても別にいいでしょう、と本気で思ってやっていました。自分の板にちゃんと書きました。
ただ、最近の保険金目当てというパターンが出てきたことを考えると、名前を書いたところで結局同じかな、とも思います。転売しないなら、書いてあっても関係ないので。
そうなってくると、板にGPSをつけるとか、AppleのAirTagを板に貼っておくとか、そういう方向も出てきます。調べればいろいろ出てくると思います。
ただこれも、結局は剥がされたら終わりです。
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「ロックするかどうか」ではなく「どうやって盗まれるか」
ここまで読むと、じゃあ何をしても無駄じゃないか、と思うかもしれません。
でも僕が言いたいのはそこではないんです。
考える順番が違うということです。
鍵をかけた自転車と、かけていない自転車
基本的なところから確認します。
鍵をかけている自転車と、かけていない自転車。どっちが盗まれやすいですか。
かけていないほうですよね。この感覚は誰でも持っているから、だからみんなワイヤーロックをするんだと思います。それ自体は自然なことです。
ただ、問題はその先です。
ワイヤーロックって、もう普通なんですよ。泥棒の側も、ロックされている板がザラにある、いっぱいある、という前提でいます。
そうなると、それはもう鍵をしていないのとあまり変わらない状態になります。
もちろん、ワイヤーロックがあることで泥棒が「ロックしてるな」と一瞬踏みとどまるきっかけにはなるかもしれません。でも、思わない人もいるかもしれない。そこは分かりません。
8万や10万の板を、2000円のチェーンで
もうひとつ、金額の話をさせてください。
板って、8万とか10万とかしますよね。それを2000円のチェーンで守れるだろうか、という話です。
僕のお父さん世代の頃、ランドクルーザーはすごく高く売れるから盗まれやすい車だと言われていたそうです。
じゃあ、その車を家に置いて旅行に行くとして、100均で買った自転車のチェーンを巻いていきますか。盗まれやすいから絶対に鍵をしたほうがいい、と言われて、自転車のチェーンを巻いて出かける。それがバチッと切られて盗まれて、「チェーンしてたのに」と言う。
さすがにおかしいですよね。
ちょっと考えれば分かることなのに、板になるとこれをやってしまっている。それだけの話だと思っています。
泥棒の側から見たら、2000円のワイヤーロックがかかった板というのは、10万円札が落ちているのに近い感覚なんじゃないかと思います。
この記事の内容は、上の動画で話したことをまとめたものです。声のトーンや実例も含めて聞きたい方はこちらから。
結局、目を離さないのが一番強い
じゃあ第一条件は何かというと、自分の目から板を離さないことです。
誰かが見ている。自分が板の前にいる。極端に言えば、板をずっと履いている。これが一番盗まれません。
当たり前の話に聞こえますよね。でも実際は、みんなワイヤーロックをして、昼ごはんの間の1時間くらい食堂に行って、目を離しています。
そこが問題なんです。ワイヤーロックをして、それで安心してしまう。ロックしても盗まれるのに。
車に置きに行っている人は実際にいます
SNSを見ていると、休憩のたびに板を車に置きに行っている人がいます。
昼ごはんのたびに車まで戻って、板を車に入れて、それから食堂に行って食べて、また車に板を取りに行って、ゲレンデに戻る。
正直、面倒くさいです。それは間違いないです。
でも毎回車に置きに行っていれば、車ごと持っていかれるか、車上荒らしに遭うかしない限りは取られません。
そして、スキー場で板をパッと持っていかれるのと、車上荒らしに遭うのとでは、車上荒らしのほうが件数は少ないと思うんです。もちろんゼロではありません。ただ、泥棒の側から見てもリスクが高くなるので、そう簡単にはできない。
「面倒くさい」と「盗まれたくない」
ここで多くの人が言うのが、いや面倒くさいじゃん、です。
僕も分かります。滑りに来ているのに、休憩のたびに駐車場を往復するのは面倒です。
ただ、盗まれたくないという気持ちと、面倒くさいから車には行かないという行動は、同じ方向を向いていません。人間はどうしてもこうなってしまうところがあります。自分の都合のいいほうだけを見てしまう。
板がなくなって困るのは自分です。そこだけは、自分で選ぶしかないと思っています。
子供やペットだと思ってみる
もっと感覚的な話をします。
板を、子供やペットだと思ってみてください。
小さいお子さんから目を離しませんよね。
犬と一緒に外に出かけているとき、リードを離して携帯をいじったりしませんよね。昼ごはんを食べるときも、店の外のどこかに繋いでおくと思います。どこかに行ってしまわないように。
さらに言えば、犬と一緒にいられる時間がそんなに長くないな、外で待たせなきゃいけないな、と分かっていたら、そもそも連れて行かないという判断もありますよね。
板もそれと同じでいいはずなんです。8万も10万もするもので、そんなにポンポン買い替えられるものではありません。
自分の家族のように扱えば、自然と、目を離す時間は減っていくと思います。
そう考えていくと、ワイヤーロックを買ってつけておしまい、という結論にはならないはずです。
大事なのは、ワイヤーロックに意味があるかないかではありません。どうやって盗まれるのか、どうやったら盗まれづらくなるのか。そこを自分で考えて動くことだと思っています。
まとめ
- スキー場でのスノーボードの盗難は毎年起きていて、転売されるものもあれば、保険金目当てで板は捨てられるという事例もあるらしい
- 犯人は必ず「スキー場で板を持っていく瞬間」を通る。そこさえ防げれば、盗まれるタイミングはない
- ワイヤーロックは実際に試すとラジオペンチ一発で切れる。ガチンではなくパチン、プツンという手応え
- 太さが1cmもないので、ハサミでも力の強い人なら切れてしまうくらい。やるなら太めの自転車のタイヤチェーンのほうがまだマシ
- ビンディングに通す形なので、最悪ビンディングを外されれば持っていかれる
- ソールに大きく名前を書く方法は、転売目的の泥棒には効きそう。ただし保険金目当てのパターンには意味が薄い
- GPSやAirTagという手もあるが、剥がされたら終わり
- ワイヤーロックはもう当たり前の存在で、泥棒もそれを前提にしている。踏みとどまるきっかけにはなるかもしれないが、ならない人もいる
- 8万、10万の板を2000円のチェーンで守ろうとしている状態だと自覚しておく
- 一番強いのは目を離さないこと。休憩や昼ごはんのたびに車へ置きに行くのが現実的な線
- 面倒くさいのは事実。ただ、盗まれたくないという気持ちとは方向が逆になる
- 板を子供やペットだと思って扱えば、目を離す時間は自然と減る
- ワイヤーロックに意味があるかないかではなく、どうやったら盗まれづらいかを自分で考えることが本題
自分の場合はどうなのか
ここまで書いてきたことは、あくまで一般的な話です。
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