スノボのブーツを買い替えたら滑りが変わった|へたったまま練習しても上手くならない理由

スノボのブーツを買い替えたら滑りが変わった|へたったまま練習しても上手くならない理由 ギアの話

滑りが変わらない、と感じることはありませんか。

去年よりは滑れているつもりなのに、映像を見ると思っていた形になっていない。プレスは先端まで行かないし、少し固いバーンに入ると耐えられない。

そういうとき、多くの人はまず自分の技術を疑います。乗り方が悪い、体の使い方が足りない、練習量が足りない。

でも、そこじゃないことがあります。

先日、あるスノーボーダーがブーツを新調する場面を見ました。買い替える前と後で、同じ内容の検証をやって何ができるかを試していく、という内容です。

見ていて一番驚いたのは、上達したわけでもないのに、できることが変わっていたことでした。

そのブーツ、まだ使えていますか

買い替え前のブーツは、はっきり言ってボロボロでした。

「長靴やん」と言われるくらいの状態です。本人も「限界、今日で終わり」と言っていました。つまり、限界だと自覚しながら、その日まで履いていたということです。

これ、けっこうあることだと思います。

穴が空いたわけでもないし、履けないわけでもない。締めれば締まるし、滑れば滑れる。だから「まだ使えるな」で毎シーズン持ち越してしまう。

動画の中でも「なんかまだ使えるなみたいな」という言葉が出てきます。まさにその感覚で持ち越されていたブーツでした。

乗れる位置が変わった

面白かったのは、ブーツを替える前と後で、まったく同じ検証をやっていたことです。

やることはシンプルで、ノーズプレスとテールプレス。板の先端側・後端側にどこまで乗れるかを見ます。

買い替え前

古いブーツで柔らかい板に乗った状態だと、ノーズは「先端っぽくはない」ところでギリギリ限界。テール側はそこそこ行けていました。

このとき、乗っている側も「ここが限界」という感覚をはっきり持っていました。自分が乗れているポイントがどこかは、本人が一番分かっている。

買い替え後

新しいブーツで同じことをやると、最初のひとことがこれでした。

「足が全部ちゃんとしっかりビンディングについてる感じがする」

そして先端まで行けるようになった。乗っているポイントが、前日より奥にずれた。

見ている側も「カメラ越しで全然違う」と言うくらいの差でした。

本人は「雪ってのもあるかもしれないけど」とも言っています。前日と当日で雪の状態が変わっていたので、そこは正直に差し引いて見ていました。それでも、乗れる位置が奥に移動したことは、本人にも撮っている側にもはっきり分かる変化だったようです。

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「これ技術必要ですか」

プレスがどんどん先まで行くようになった場面で出てきた言葉が、この動画の芯だと思います。

「皆さんこれ技術必要ですか」 「もう道具やん。こんなん道具で変わるやん」

そして、さらに先まで押していって「これ以上は無理」というところに到達する。そこが板そのものの限界です。

技術で限界に到達できていなかった状態から、道具を替えただけで板の限界までは行けるようになった。

前日「絶対買わない」と言っていた板に乗ってみたら

もうひとつ、はっきりした比較がありました。

前日、固めの板に乗せてもらったときは「絶対買わない」と言っていたそうです。感触が気持ちよくなかった、と。

同じ板に、新しいブーツで乗り直します。

「昨日より耐えれるわ」

前日はずるんといってしまう気がしていたところで耐えられる。しかも「雪の方が基本プレスってむずい」という条件です。それでも、前のブーツでは無理だったところまで倒せる。

「テロンってならない」という表現が出てきます。板が急に負けてしまう、あの感じが出ない。

このとき変わっていたのは、ブーツと雪だけです。ビンディングもセッティングも前日と同じものでした。

リフトで足が痛いのは、我慢する話じゃないかもしれない

技術とは関係ないところで、僕が一番「あ、それ」と思ったのがこの話でした。

リフトに乗っているとき、板が付いている方の足をぶら下げると足が痛くなる。だから板を付けている方の足の上に、もう片方を乗せて支える。滑っている人なら、たぶん一度はやっている姿勢だと思います。

動画の中では「足めっちゃ痛いんすよ」「もう脱げそう」「引っ張られてる感じ」と表現されていました。

これが、新しいブーツでは起きなかった。

「今はピタってなってるから全然痛くない」

そして本人がこう続けます。初心者の人が「ブーツ切れる」みたいなことを言うのに対して、自分も1本目は痛いからつい同じ姿勢をとっていた、と。今回は「全然いらない」。何本か滑った後の足の感じが、いきなり1本目から来ている、という言い方をしていました。

痛いのは我慢するもの、慣れるもの、と思って何シーズンも過ごしている人はけっこういる気がします。少なくとも、痛くならない状態は存在する、ということです。

小指を上げただけで板が動く

リフトの上で、もうひとつ小さな実験をしていました。

足をぶら下げた状態で、小指を上に上げてみる。それだけで板が動く。

「小指あげただけでこんなに板動いた」と本人が驚いていました。前のブーツではしなかった動きです。

これを見ていた側が言っていたのが、

「やっと今このビンディングと道具の板の性能を感じてるじゃん」

つまり、ビンディングも板もずっと同じものを使っていたのに、その性能が足に伝わっていなかった。伝えるところで止まっていたわけです。

この記事の内容は、上の動画で話したことをまとめたものです。声のトーンや実例も含めて聞きたい方はこちらから。

柔らかい板で耐えているのは、自分の脚

ここから話は板側に移ります。

柔らかい板に乗った状態で足元を映すと、膝を曲げただけでキャンバーが沈んでいるのが見えました。

「これでさ沈んでたらさ、もう着地とか全部自分じゃん」

板がたわみで受けてくれない分を、自分の脚で受けることになる。だから疲れるし、怖い。動画の中でも「単純に板が柔らかかったら自分で耐えなあかんやん」「楽しようぜっていう話」というやり取りになっていました。

板が折れる話

もうひとつ、シビアな話も出ていました。

その柔らかい板については「多分板折れるから」「今日板折れるかも」と、乗る前から言われていました。実際、見ていた側は「俺はそれは乗りたくない」と断っています。

ジブでガンガン当てにいかなければ折れないだろう、と思っていたけれど、そうでもない。普通に乗っていて折れることはある、という話でした。過去にフロントフリップでとどめを刺してしまった一本もあったそうですが、それも「多分時間の問題」で、別の場面で折れていたかもしれない、と。

ブーツだけ良くなると、次に足りないところが見える

新しいブーツで一日滑ったあと、本人からこういう言葉が出てきます。

「体のてっぺんからブーツまではガシッとしてるんだけど、そっから下が柔らかい」

今まで感じなかった不安が、ブーツを替えたことで見えるようになった。スピードが出たときに板とビンディングが「ちょっと頼れないな」と感じる、と。

これ、悪いことではないと思います。どこが足りないのかが分かるようになった、ということなので。

そしてここが大事なところだと思うのですが、動画の中で言われていたのは「この板を買え」ではありませんでした。

「別にこれは板が悪いとかそういうことではなく、君の滑りと君のこのレベルに合った道具を使ったらもっと上手くなるよね、っていうお話でした」

サイズの話も出ていました。飛ぶサイズに対して、板がもうワンサイズ上だったら全然違う、と。悪いのは道具の良し悪しではなく、やりたいことと道具が噛み合っていないことのほうです。

昔の自分が怖くなる

もともとこの人は、ダブルキャンバーの柔らかい板でグラトリをやるつもりでスノーボードを始めたそうです。最初に買ったのがその板でした。

その板で、10mは入っていなかったけれど、7〜8mくらいのミドルのキッカーには普通に入っていた。

それを今やれと言われると「もう怖い」。

道具の違いが分かった後だと、当時の自分がどれだけ自分の脚で耐えていたかが見えてしまう。「怖いって言ってた人の気持ちがよくわかりました」という言葉が印象的でした。

カービングが楽しいと分かった日

その日、ずっとグラトリ寄りだった本人が、こんなことを言い出します。

平坦で何もないところをカービングしている人たちを見て、今まで「楽しいの?」と思っていた。それが分かった、と。

「楽しいわ」「これで遊べるよね」

そのあと大きいターンを出してみると、かなりのスピードが出る。見ている側が「クラッシュしたら殺せちゃう」と注意するくらいの速度でも、破綻しない。安定しているのに速い、という状態でした。

最後にやっていたのが、上半身も手も一切使わず、足元だけでターンするという課題です。被せたり、しゃがんだり、腕を動かしたり、体を開いたりを全部やめる。何もしないで大きく回るだけ。

「怖いな、バランス取れるか心配」と言う本人に、返ってきた言葉がこれでした。

「大丈夫、いい物履いてるから」

まとめ

  • ブーツは「まだ使えるな」で持ち越しやすいけれど、へたった状態のまま練習しても、板の性能まで足の動きが届かない
  • ブーツを替えただけで、プレスで乗れるポイントが奥まで行くようになっていた
  • 前日「絶対買わない」と言っていた固めの板が、新しいブーツでは耐えられる板に変わった
  • リフトで板を付けた足が痛くて支えてしまうのは、ブーツが合っていればそもそも起きないことがある
  • 小指を上げただけで板が動く、というレベルの入力は、ブーツが伝えてくれて初めて成立する
  • 柔らかい板は、たわみで受けてくれない分を自分の脚で耐えることになる。ジブに行かなくても折れるときは折れる
  • ブーツだけ良くすると「そこから下が柔らかい」と次の課題が見える。それは悪いことではなく、噛み合っていない場所が分かったということ
  • 目指すのは高い道具ではなく、自分の滑りとレベルに合った道具

自分の場合はどうなのか

ここまで書いてきたことは、あくまで一般的な話です。

実際は、体つきも、道具も、滑ってきた時間も人によって違います。自分の場合はどうなのか、どこから手をつければいいのか。個別に見てほしいという方は、レッスンをやっています。下のどちらからでも受け付けています。

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