いい板を買ったのに、滑りが変わらなかった。
そういう経験、ありませんか。
YouTubeで「これはやりやすいです」「こういう滑りに向いてます」と紹介されていた板。めちゃめちゃ高い国産の板。期待して買って、雪の上に持っていって、乗ってみる。
でも、去年と大して変わらない自分がいる。
それどころか、下ろした日にトップシートが剥がれた、なんてことも起きます。12万円出した板で。そうなると、作ったメーカーに文句を言いたくなるし、あの動画で勧めていた人にも一言言いたくなる。
その気持ちは分かります。ただ今回の動画では、そこにけっこう厳しい角度から切り込んでいます。読んでいて耳が痛い部分もあるので、先に言っておくと、これは「あなたが悪い」で終わらせるための話ではありません。次に同じことを繰り返さないための話です。
その板を最後に選んだのは、誰だったか
動画の中で何度も出てくるのは、とてもシンプルな問いです。
その板、最後に「これを買う」と決めて、お金を払ったのは誰か。
インフルエンサーが勝手にお金を取って、勝手に板を送りつけてきて、無理やり乗らされた。そういうわけではないですよね。自分で選んで、自分で払った。
だから「粗悪品を掴まされた」となったときに、インフルエンサーが悪い、メーカーが悪い、で終わらせてしまうと、次も同じことが起きる。動画ではそう言っています。
かなり強い言い方をしているので、そのまま文字にすると角が立つのですが、要点はここです。
どのYouTubeを見るか。どのインフルエンサーの言うことを聞くか。どの板がよくて、どの板がそうでもないか。それを判断して選んでいるのは、いつも自分の側だということ。
試乗会で1〜2本乗って、分かった気になっていないか
もうひとつ、痛いところを突かれている部分があります。
試乗会で1〜2本、適当に滑る。普段の滑りとそんなに変わらない滑り方をして、それで「これめっちゃ調子いい」と分かった気になる。
これ、思い当たる人は多いんじゃないでしょうか。
そして動画では、そこにもうひとつ質問が続きます。
その板に乗るレベルなのか。乗りこなせるのか。
道具の良し悪しを判断するには、判断できるだけの滑りが自分の側に要る。数本流しただけで分かることと、分からないことがある。そこを飛ばして「いい板だった」と決めてしまうと、選んだ根拠が実質ゼロのまま高い買い物をすることになります。
10万円の板1本と、中古の板4〜5本
動画の中に、こういう比較が出てきます。
10万円払うなら、中古で、めちゃめちゃいい板が5本買える。いや4本か、と言い直しているのですが、要するにそのくらいの本数です。
新品の高い板1本と、中古の板を何本か。同じ金額でも中身がまったく違う買い物になります。
このあと出てくるインタビューでも「ブックオフでも全然いい」という話が出てきます。中古で選ぶという選択肢を、最初から候補に入れていない人はけっこう多いはずです。
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一般スノーボーダーに聞いた「上手くなるために一番大事なこと」
動画の後半は、鷲ヶ岳のパークでのインタビューです。
火曜日はレディースデーなので結構混んでいて、白鳥高原の土日より人がいる。朝10時の時点で、パークも普通の斜面も賑わっている。そんな日でした。
インタビューされているのはモブさん。11mと12mを飛んでいる、30オーバーの「おじさんの部類」の方です。ライダーではなく、趣味で滑ってきた人。
「おじさんの青春って感じ」
「一般スノーボーダー的にも結構楽しめる」
「いっぱい人がいる感じ、盛り上がってるねっていう感じ」
そう話しています。この日は16mも飛んでいて、そちらについては「生きてる感じ」「ジャンプっていいなっていう感じ」と。
歴は何年ぐらいかと聞かれると「300日ぐらいになるかな」と答えています。聞き手はそれを「1年間分ぐらい滑っているところ」と受けていて、そのくらい真剣に滑れば16mで飛べる、という話の流れです。
その人が、趣味で滑る人が上手くなるために一番大事なこととして挙げたのが、次の2つでした。
言い訳をしないこと
「おっさんで趣味でやるからには、言い訳しないこと」
「やりたいことやる。それしかない」
具体的に何を指しているかというと、変に遠慮して「自分なんて下手なんで」みたいな保険をかけること。動画では、Twitterであまりやらない方がいい、ダサい、と言っています。若い人はもっとやらない方がいい、とも。
保険をかけたくなる気持ちは、正直よく分かります。先に自分を下げておけば、失敗しても傷つかない。
ただ、それを言い続けている間は、やりたいことに手を出さない理由がずっと手元に残ってしまう。上手くなる話とはあまり相性がよくない、ということだと思います。
道具選びにこだわりすぎないこと
もうひとつが道具の話です。
モブさんは、バチバチのナイトロビーストで、白鳥の小さいジャンプでバックスリーをやっている。全然できる。やりづらい、やりやすいはあるとしても、できる。
つまり、道具選びはもちろん大事な場面もある。初めての技をやるときなどはそうです。でも、いい板に乗っているから上手くなる、というわけでもない。
「これしか知らんでしょ、俺」
これ1本を突き詰めることによって見えてくるものがある、という言い方をしています。
1本を長く使うと、起きなくなること
板を1本に絞ることの効果として、こんな話も出てきます。
下半身が伝わってくる。パワーが出る。トップシートが剥がれない。
そして、板を下ろした日に12万円の板のトップシートが剥離して、メーカーにボロクソ言う。そういうことも起きないわけです。
これは面白い視点だと思いました。買い替えの回数が減れば、そもそも「買って失敗した」という体験そのものが起きにくくなる。
ただし「物を買う人がクソ」とは言っていない
インタビューの中で、こういうやりとりがあります。
インフルエンサーの情報に惑わされてバンバン物を買って、感覚が変わりましたとか言って上手くなった気になっているやつは全員クソ、ということでいいですか。
それに対する答えは「そこまでは言ってない」でした。
「それでもいいんじゃない」
「上手くなるかも分からないしね」
「お金かけて頑張ってくれって感じ」
ここは大事なところだと思います。道具にお金をかけること自体が悪いという話ではない。
むしろ、業界の側から見ると逆で、1本を壊さないで乗り続けられても困る、という話にもなる。全然新品を買わない、中古でいい、なるべく物持ちよく長持ちさせたい。そういう滑りになってくると「業界の敵になっちゃう」と。
この記事の内容は、上の動画で話したことをまとめたものです。声のトーンや実例も含めて聞きたい方はこちらから。
板もセッティングも情報も揃っているのに、上手くならないなら
動画の締めが、いちばん核心だと思います。
どこのメーカーの道具がいいとか、中敷きがいいとか、ブーツの締め具合がどうとか。気にすることはいくらでもあります。
でも、究極を言えば、セッティングが良くて、板も良くて、ハウツー動画を見て情報もある。この3つが揃って一見完璧に思えても、それでも上手くならない人はいる。
じゃあ、それはなぜなのか。そこに目を向けてほしい、と。
毎週スノボに行っているのに、なぜモブさんのように16m飛べないのか。そこには理由がある。上手くならないことには、必ず理由がある。
そして動画では、その理由について「道具や板ではない」と言い切っています。オフトレをどれだけしているか、そういうことでもない。実際、モブさんもオフトレの話はしていませんでした。
じゃあ何なのか。
どこが自分にとって必要なのか。何が自分に足りないのか。それをまず自分で考えてください、というのが結論です。インフルエンサーの動画を見るのではなく、自分で考える。
ここで肩透かしを食らったように感じる人もいるかもしれません。答えを教えてくれないのか、と。
でも、これは筋が通っていると思います。足りないものは人によって違う。年に何回行けるかも、運動経験も、今できることも、全部違う。だとしたら「これをやれば上手くなる」という共通の答えを外から受け取ろうとすること自体が、板を選ぶときと同じ構造になってしまう。
誰かが「これがいい」と言ったものを、そのまま受け取る。それで結果が出なかったら、言った人のせいにする。
板の話と、上達の話は、たぶん同じ話なんだと思います。
まとめ
- 高い板を買って早々に壊れたとき、メーカーやインフルエンサーのせいにしたくなるが、最後に選んでお金を払ったのは自分
- どのYouTubeを見るか、誰の言うことを聞くか、どの板を選ぶか。その判断自体が自分の側にある
- 試乗会で1〜2本、普段と変わらない滑り方をしただけで「これは調子いい」と決めてしまっていないか
- 10万円の新品1本と、中古で4〜5本。同じ金額でも中身は変わる
- 300日ほど滑ってきた一般スノーボーダーが挙げた「上手くなるために大事なこと」は、言い訳をしないことと、道具選びにこだわりすぎないこと
- 1本を突き詰めることで見えてくるものがあり、買い替えが減れば「買って失敗した」という体験自体が起きにくくなる
- ただし道具にお金をかけること自体を否定しているわけではない。「それでもいいんじゃない」というスタンス
- セッティング・板・ハウツー情報の3つが揃っても上手くならないなら、理由は道具でもオフトレの量でもない
- 自分に何が足りないのかを、自分で考えるところから
自分の場合はどうなのか
ここまで書いてきたことは、あくまで一般的な話です。
実際は、体つきも、道具も、滑ってきた時間も人によって違います。自分の場合はどうなのか、どこから手をつければいいのか。個別に見てほしいという方は、レッスンをやっています。下のどちらからでも受け付けています。
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夏のあいだのオフトレとしてやっているトランポリンのプライベートレッスンは、内容と料金をこちらにまとめています。
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もっと踏み込んだ話
ここには書けない実際の事例や、細かいところはメンバーシップのほうで話しています。
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