カービングのヒールターンがずれる・抜ける人へ|板の踏み方を考えすぎていませんか

カービングのヒールターンがずれる・抜ける人へ|板の踏み方を考えすぎていませんか 滑りの話

カービングの練習をしていて、ヒールサイドだけどうもずれる。

そういう悩み、ありませんか。

ヒールサイドに入ると、板がずれている感じがする。トラバースに近づいてくると、さらにずれる。途中で膝を入れたりして、なんとか持たせている。

どちらの足で踏むか、どう板を踏むか、どんな姿勢で滑るか。そういうことを頭で考えながら滑っていませんか。

今回の動画は、まさにそういう状態の人が受けたレッスンの記録です。見ていて、自分にも当てはまるところがあるかもしれないと感じました。

ヒールターンがずれて、カービングをなんとか持たせている状態

レッスンの最初に、受講者にはいつも通りに1本滑ってもらっています。何も意識せず、普段練習しているやり方で気持ちよく、という指示です。

外から見ると、カービング自体はちゃんとできています。講師も「綺麗に曲がってる」という見方でした。

でも、本人の感覚は違います。

  • ヒールサイドがずれる
  • ヒールサイドはトラバースし始めるとずれている感じがする
  • ターンの入りがずれていて、途中で右の膝を「ピッ」と立てて入れている
  • それでなんとか持たせている

外からは綺麗に見えるのに、本人の中では苦しい。この「ずれてるのをなんとか頑張ってる」状態を、講師は冗談まじりに「呪われてる」と呼んでいました。

板の踏み方や姿勢を考えながら滑るのが「呪い」の原因

講師が受講者に聞いたのは、滑り方ではなく、頭の中のことでした。

スノーボードに乗ったうえで、色々意識しないとできないと思っていないか。板をどっちの足で踏むとか、こうやって板を踏むとか、この姿勢で、とか考えながら滑っていないか。

受講者の答えは「結構考えてる」。

講師はそれを「呪いの原因」と言いました。

受講者の側にも理由があります。「そうしないとできなかったから、そうしている」。これはとても自然なことだと思います。できなかったから考えるようになった。考えたら少しできるようになった。だから考え続ける。

それに対して、講師はこう返しています。

なんとなく「あっちに行きたいな」と思っていたら綺麗に曲がれた。それが一番良くないですか、と。

受講者も「一番いいです」と答えています。

ただ講師は、完璧にそうなるには色々な要素が揃っていないといけないので、完璧にはならないかもしれない、とも言っています。ここは言い切っていません。そのうえで、今は自分で自分を縛っている状態なので、結構楽にできるはずだ、という見立てでした。

板を脱いで5分、滑り方の指導なしでカービングが変わった

ここからレッスンは、スノーボードを脱いだ状態で進みます。

この部分は動画には映せない内容なので、何をしたのかはここでは書けません。分かっているのは、リフト1本目を滑ったあとに板を脱いで、5分くらい何かをして、それから滑った、ということだけです。

板を脱いだ状態で立った受講者は「すげえ気持ち悪い」と言っています。一方で講師は「めちゃくちゃ綺麗に立ててます」。本人の感覚と外から見た姿がずれている。講師は、その気持ち悪いまま滑ってみて、と送り出しています。

本人は「ずれてる」、でも実際はずれていなかった

滑ったあとの受講者の感想はこうです。

  • 板の上に乗っている感じがする
  • ヒールサイドで謎の抜け方をして転んだ
  • いつもみたいにずれている感じがする

ところが講師の見立ては逆でした。映像を見れば一撃で分かるけれど、ヒールサイドはずれていない、と。

最後に転んだのは、ずれたからではなく「刺さりすぎ」。めちゃくちゃ深く掘れた結果、雪が耐えられなくて壊れて、板が刺さって転んだ、という説明です。

受講者が「前の踏みすぎですか」と聞くと、講師は「前踏み過ぎとかじゃない」と答えています。ヒールサイドのターンで板が立ちすぎた、刺さりすぎた、というだけ。

いつもはずれた結果転んでいて、今回は掘れすぎて転んだ。同じ「転んだ」でも中身が違います。

滑り方については何も言っていない

面白いのはここです。

講師は受講者に「その間、滑り方とか踏み方のことを何か言いましたっけ」と聞いています。答えは「何にも指導していただけない」。

それでも滑りは変わった。講師の見立てでは、わからないけれど体の角度が多分15°か20°くらい変わっている、とのことでした。

そして講師は、これはまだ序の口だとも言っています。

膝を曲げない・腕を脇で固めない、それだけで母趾球で踏めた

次に講師が出した指示は、ほとんど指導とは呼べないくらい短いものでした。

講師自身も「物足りないと思うんで、一応ちょっと指導っぽいことを言っときます」と前置きしています。

  • 膝を曲げないでください
  • 手はいらない
  • その姿勢のまま、前を向いて滑るだけ

「何もしない」というのは、腕を脇で固めている、それをしないだけ。膝も、別に曲げてもいいし適当に、という言い方でした。

トゥサイドで母趾球が使えるようになった

滑ったあとの受講者は「めっちゃトゥサイドの母趾球で踏めるんだけど、何これ」と驚いています。

いつもは親指で押し込むようにやっていたそうです。それがなくなった。

乗る位置も「超ど真ん中」。短いリフトで2本乗っただけで、気持ち悪いぐらいど真ん中になった、と本人が言っています。

板をどう踏むかを考えていたときより、踏み方のことを何も言われていないときのほうが、狙っていた踏み方ができている。ここがこの動画で一番考えさせられたところでした。

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この記事の内容は、上の動画で話したことをまとめたものです。声のトーンや実例も含めて聞きたい方はこちらから。

ヒールターンが抜けるのは、板をバランスが崩れる立て方で立てているから

レッスンの後半、受講者は苦手な斜面に向かいます。

普段は、スキーヤーが滑った跡に弾かれて、端から端までトラバースして、止まりそうになる。ガンガンターンしていけない。1人で来ては転んで帰っている、と本人は話しています。

その斜面で、この日は普通に滑れました。講師も「相当深く回れてた」と言っています。斜面は少し硬かったようです。

板はもう立っている、立てすぎなくていい

その後、エッジを立てる練習の場面があります。

受講者は、昨日までは親指で立っていてやりづらかった。それが今は母趾球で普通に立てる、いくらでも立てる、と言います。

ここで講師が指摘したのは、ヒールサイドのことでした。

板を立てるのがうますぎるから、もっと立てないでやってみて。少なめに立ててみて。ターンもそんなもので大丈夫。

そして、ヒールターンが抜ける理由をこう説明しています。

バランスが崩れそうな立て方をターン中にやるから、ヒールターンが抜ける。

軽い力でやってあげれば綺麗に安定する。超軽いけれど板は立っていて、トゥサイドと同じぐらい立っている。映像を見れば分かる、と。

受講者は「全然立ってない感じがする」と言います。講師の答えは「脳が呪われてるから」。ヒールを立てないと立たない、という呪いにかかっている。でも実際は板が立っている。

ヒールターンが抜ける悩みを持っている人ほど、もっと立てなきゃと思いがちだと思います。この動画では、その逆の方向で安定していました。

板が返ってくるなら、踏まなくていい

もう1つ、講師が拾った場面があります。

受講者が「板の反発に負けた」と言ったとき、講師は「踏めすぎてて板が帰ってきちゃうってことは、踏まなくていいんです」と返しています。

ここも「もっと踏まないと」ではなく、「踏まなくていい」です。

インソールを抜いたら板が動いた。ただし人による

レッスンの途中、受講者はインソールを抜いています。

抜いたあとの感想は「めっちゃ板が動く」「怖くない」。高いインソールを入れて苦しんでいたのは何だったのか、と本人が言っています。

ただ、講師はここを言い切っていません。

  • 人による
  • インソールを入れたら調子がいいこともある
  • 物による
  • 正解が結構ない

受講者の場合は、使っているインソールと体のバランス的に「今日は抜いた方が良さそう」という判断でした。「今日は」です。雪によって全然違うし、スキー場が変われば変わるし、エリアが変われば雪も少し違う、という話もしています。

講師がすすめていたのは、捨てることではなく比べることでした。インソールは拾って持って帰り、また戻してみる。そうすると「これはこれでいい」「この動きはやりやすい」というのが分かると思う、と。

インソールを抜くという発想は、普通は出ない。講師もそう言っています。道具を足すことで良くしようとしていたなら、一度外してみて比べる、という選択肢もある。そのくらいの受け取り方がちょうどいいと思います。

しゃがまなくてもいい。選べるほうが滑りは楽しい

最後に講師が触れたのは、受講者の「しゃがみ」でした。

呪われたしゃがみをやめるだけ。もうできているから、しゃがまなくていい。

実際にしゃがまずに滑った受講者は、また「気持ち悪い」「ずれてないですか」と言っています。でも講師から見ると、後ろから見たら全然普通。あれでいい、と。

ここで講師は、しゃがむこと自体を否定していません。

しゃがんでもいいし、さっきぐらいしゃがんでもいい。しゃがまなくてもいい。全部選べると楽しい。ここはこれくらいしゃがもう、ここはしゃがまない、と選択肢は多いほうが面白い。

そのうえで、こう言っています。

しゃがまないといけない、となった瞬間から限界が決まってしまう。

できることは増やせば増やすだけいい。いろんな滑り方をやってみてください、と。

「こうしないとできない」と思い込んだ形が、いつの間にか自分の滑りの上限になっている。レッスンの最初に出てきた「考えないとできない」という話と、ここでつながっている気がしました。

まとめ

  • ヒールサイドがずれる・カービングをなんとか持たせている受講者に、講師が指摘したのは「板の踏み方や姿勢を考えながら滑っていること」だった
  • 板を脱いで5分ほど何かをしただけで、滑り方の指導なしにカービングが変わった。講師の見立てでは体の角度が15°か20°くらい変わった
  • 本人は「ずれている」と感じていても、映像では、ずれていなかった。転んだ原因は、ずれではなく深く掘れすぎて板が刺さったこと
  • 膝を曲げない・腕を脇で固めない、前を向いて滑るだけで、トゥサイドの母趾球で踏めて、乗る位置がど真ん中になった
  • ヒールターンが抜けるのは、バランスが崩れそうな立て方をターン中にやるから。軽い力でも板はトゥサイドと同じぐらい立っていた
  • 板が返ってくるなら、踏まなくていい
  • インソールを抜いたら板が動くようになったが、人による・物による・雪やスキー場でも変わる。外したものは持ち帰って、戻して比べる
  • しゃがむ・しゃがまないは選べるほうがいい。「こうしないといけない」と決めた瞬間から限界が決まってしまう

自分の場合はどうなのか

ここまで書いてきたことは、あくまで一般的な話です。

実際は、体つきも、道具も、滑ってきた時間も人によって違います。自分の場合はどうなのか、どこから手をつければいいのか。個別に見てほしいという方は、レッスンをやっています。下のどちらからでも受け付けています。

内容や日程の相談だけでも大丈夫です。滑っている動画を送ってもらえれば、それを見たうえでお返しします。

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