キッカーに入る前のアプローチで、なんとなく板の真ん中に乗れていない気がする。
そのままリップに入ったら、まくられてしまった。
そういう日、ありませんか。
調子が悪いと、つい自分の滑りのせいにしたくなります。でも、立ち方や道具のセッティングが原因になっていることもあります。
今回取り上げる動画は、キッカーの1本目で大きくまくられた日に、スタンスの角度と幅、ビンディングのトーストラップを見直していく様子を追ったものです。
細かい数字は動画の中で話されているものをそのまま書きます。自分のセッティングを考えるときの材料にしてもらえたらと思います。
キッカーの1本目でまくられた日のこと
この日は朝から調子が悪かったそうです。
メインパークの大きいキッカーで、1本目から大きくまくられた。本人の言葉では、ヒール側からストレートに落ちて、ヘルメットが「ガンガン」と鳴ったくらいだったそうです。「シーズンアウトしたな」と思った、とも話しています。
一歩間違えればシーズンが終わっていた転び方です。
本人にはこの日、思い当たることがありました。
後ろ足を開くスタンスで「真ん中に乗れていない」感覚
この日、本人は後ろ足が開くスタンスを試していました。
すると、アプローチの段階から何かが嫌に引っかかる。真ん中に乗れていない感じがある。そう話しています。
それを受けて、角度は前の「66」に戻しました。
見ていた側も、振ると良くないのかもしれない、という反応でした。
スタンサーで出たニュートラルのポジション
以前スタンサーで測ったときに、ニュートラルのポジションとして「30」という数字が出ていたそうです。
本人は「他の人もみんな、あんなに振らない角度になるものなんですか」と聞いています。
答えはこうでした。
これまで見てきたお客さんの経験からだけで言うと、かなり珍しいと思う。ジャンプをガンガンしている男性で、あの可動域は珍しい。女性には結構いるみたいだけど、とのことです。
ほかにも珍しいと言っていた人がいた、という話も出ています。
そこで今あるのが、「振らないほうが調子がいいんじゃないか」という説です。
実際、「92」にしたら死にかけたわけだから、もうやりたくない。そんなやりとりもありました。
上手いスロープスタイラーは「12・12」が多い、でも気にしなくていい
ここで本人が引っかかっていたのが、上手いスロープスタイラーの角度です。
みんな振っている、とまではいかないけれど、「12・12」とかが多い。何が違うんだろう、と。
これに対しては、それは違いだからあまり気にしなくていいんじゃないか、という答えでした。
上手い人の角度を真似したくなる気持ちは、僕もよく分かります。
でもこの動画を見ると、上手い人と同じ数字にすることより、自分が真ん中に乗れる数字を探すことのほうが先なんだろうなと思います。
スタンス幅を49から51へ広げた
角度と一緒に、スタンス幅も変えています。
49から51へ、2広げた。
本人は「たぶんそっちのほうが調子がいい」と話していて、見ていた側も「そうでしょうね」と返しています。
ただ、この時点ではまだ「ちょっとマシになった」くらいだったそうです。
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この記事の内容は、上の動画で話したことをまとめたものです。声のトーンや実例も含めて聞きたい方はこちらから。
トーストラップを外したらターンが切れるようになった
ここからが、この動画の中心だと思います。
まず、トーストラップを両方外して1本滑ってもらう。
次に、右だけトーストラップをブーツの真上につけて滑ってもらう。
すると、調子が良かった。本人の感覚では、「なんか切れるみたいな」感じがあったそうです。
硬いビンディングにすればターンが切れる、とは限らない
ここで出てきたのが、よくあるイメージの話です。
トーストラップをちゃんとつけて、硬いビンディングにしたほうが、ターンが切れる気がする。
本人も「そんな気がしますね」と答えています。
でもこの日は逆でした。
本人は「今日のは柔らかいから、動いたほうがいいって感じですか」と聞いています。
それに対する答えは、この「遊び」が増えたことで変わったんだと思う、というものでした。今までは力が伝わりすぎていたんだと思う、と。
朝イチの硬いキッカーで起きていたかもしれないこと
最初のまくられについても、ここでつながる話が出てきます。
朝イチはキッカーのアプローチやリップが硬い。
その状態で、スタンス幅を狭くしていた。立ちづらいスタンスになっていた。
しかも足回りはがっちりしている。
だから板がめっちゃしなってしまって、まくられたんじゃないか。そういう気がする、という話でした。
ここは言い切りではなく、あくまで「気がする」という言い方です。でも、硬い雪、狭いスタンス、がっちりした足回りという条件が重なっていたことは、自分のセッティングを見直すときのヒントになると思います。
道具で抑えるのではなく、強すぎる右足そのものを変える
トーストラップで調子が良くなった。ここで終わりにしないのが、この動画の面白いところです。
右だけトーストラップの位置を変えたのは、ビンディングの性能を右だけ落として、強すぎる右足の力をセーブした、という意味でした。
でも、これだと道具に頼っていることになる。
右足のビンディングの性能を落としているだけなので、右足が強すぎるという状態そのものは変わっていない。
だから根本から変える。
どうやって変えるのかは、動画の中では「魔法で」と冗談めかして言われていて、具体的な中身は語られていません。上に行って「魔法」をかけたら、両方ストラップをつけても、たぶん割といけるようになると思う、とのことでした。
その後、本人は自分の感覚としてこう話しています。
「さっきより斜面に対して持っていけている」
見た目で分かるかは分からないけれど、自分の中の感覚としてはかなり変わった、と。
道具で症状を抑えるのと、原因そのものを変えるのは別のことです。道具で調子が良くなったときこそ、何を抑えているのかを一度考えてみる。この動画からはそういう視点をもらえる気がします。
角度を戻し幅を広げたあとのパーク
後半はパークでの滑りが続きます。
「来ました朝一まくられ男」という声のあと、本人は立ちました。周りからは「フロント3した」「トラウマ克服」という声が上がっています。
朝、あれだけ大きく転んだ日に、同じ日のうちにもう一度キッカーに入れた。
角度と幅とストラップを見直したことが全部そこにつながったのかは、動画からは分かりません。でも、「真ん中に乗れていない」という違和感をそのままにしなかったことは、大きかったんじゃないかと僕は思います。
まとめ
- 後ろ足が開くスタンスを試したら、アプローチから引っかかる感じがあり、真ん中に乗れていない感覚があった
- 角度は前の「66」に戻した。スタンサーで出たニュートラルのポジションは、ジャンプをする男性としてはかなり珍しい可動域だと言われていた
- 上手いスロープスタイラーには「12・12」が多いが、それは違いなので気にしなくていいという話だった
- スタンス幅は49から51に広げた
- トーストラップを両方外して1本、右だけブーツの真上につけて1本滑ったら、ターンが「切れる」感覚があった
- 力が伝わりすぎていたのかもしれない。朝イチの硬い雪で狭いスタンス、がっちりした足回りだと板がしなりすぎて、まくられたのではないか、という見立てだった
- ストラップで右足を抑えるのは道具に頼っているだけ。強すぎる右足そのものを変えることが根本だ、という考え方だった
自分の場合はどうなのか
ここまで書いてきたことは、あくまで一般的な話です。
実際は、体つきも、道具も、滑ってきた時間も人によって違います。自分の場合はどうなのか、どこから手をつければいいのか。個別に見てほしいという方は、レッスンをやっています。下のどちらからでも受け付けています。
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