ブーツが合っていないと、スノーボードは上手くならない

ブーツが合っていないと、スノーボードは上手くならない ギアの話

道具のせいにするのは、なんとなく格好悪い。

そう思っている人、多いと思います。

滑りが安定しない、片方だけ疲れる、思った通りに動けない。そういうとき、まず疑うのは自分の技術のほうですよね。もっと練習しよう、もっと考えて滑ろう、と。

僕もそうでした。道具は「そこそこのものを使っていればいい」くらいに思っていて、うまくいかない理由は全部、自分の側にあると考えていました。

でも先日、ブーツを調整してもらっている場面を見て、考え直しました。

そこで起きていたことは、「道具を変えたら滑りが良くなった」という話ではなかったんです。もっと手前の、体そのものの話でした。

左右で、こんなに違う

その場でやっていたのは、こういうことです。

調子の悪いほうのブーツを履いた状態で、その足で体を支える。そこに軽くパンチを入れる。すると、耐えられない。

逆足にすると、同じくらいの強さで叩かれても、しっかり耐えられる。

叩かれた本人は「めちゃくちゃぶん殴られた気がした」と言っていました。1発目のほうが強く叩かれたように感じた、と。でも映像を見返すと、そんなに強く叩いてはいない。体が耐えられないから、強く感じただけなんです。

ブーツの調子が良ければ、体はちゃんと耐えられるようになる。耐えられるようになるから、コケにくくなる。

言われてみれば当たり前なんですが、自分の足の左右差を、ここまではっきり体感する機会ってなかなかありません。

指が動くかどうか

もう一つ、その場で分かりやすく出ていたのが、指の動きでした。

調整前は、片方の足の指がほとんど動かない。もう片方はパカパカ動く。同じブーツを履いているのに、です。

調整のあとで履き直すと、指が動くようになる。「さっきより動くの分かりますか」と聞かれた本人は、「指はめっちゃ動く」と答えていました。

そして、痛みの話。

「右足だけ履いていると痛い」「左足だけ痛くない」という状態。同じブーツなのに、片方だけ痛くなる。

これについての説明が印象的でした。揉んだから痛くなくなったのではなく、もともと痛くならない足の形にできるんだ、と。痛いほうの足は、自分でぶつけている状態になっている。指が動かないような足の形になってしまっている。

その、指が動かない足の形のままで熱成形すると、余計に動かなくなる。使っているうちに痛くなってくる。

「自分の足の形に合わせる」への疑問

元動画「【閲覧注意】スノーボード上達したくない人は観ないでください、、、」の場面

ここからが、いちばん考えさせられた部分です。

ブーツが合わないと感じたとき、多くの人は「自分の足の形に合わせればいい」と考えます。焼き直しをする、という発想ですね。実際、そういう人はたくさんいる。

でも、と。

自分の足の形が本当に良いのなら、全員が「合う」と言うはずじゃないか、と。焼き直さないと合わない、という時点で、気づくべきことがあるんじゃないか。

自分の悪い足の形に合わせて焼いて、どうするのか。素材のほうを良くしろ、と。

説明はこう続きます。

スノーボードブーツは、体のことを知り尽くしたエキスパートが作っている。人間の足はこういう形だから、こういう動きができれば一番楽に稼働する。そういう、人間の足としてベストな形のものを作っている。

そのベストな形の筒の中に、自分の足を突っ込んで「痛い」と言っている。だとしたら、疑うべきは人間のほうじゃないか。

一番パワーが出る形のものを、自分のパワーが出ない足の形に整形してしまう。それはもったいない。

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道具が変わると、滑りが変わる

元動画「【閲覧注意】スノーボード上達したくない人は観ないでください、、、」の場面

この話の一番わかりやすい部分がここでした。

自分のパワーが伝わらないブーツを履いていると、道具が大事だということに一生気づけない。比較する対象がないからです。

でも、道具が変わると、滑りは変わる。

その場にいた人の話として、「滑り変わりましたよね」と言われた人がいたそうです。でも本人は、滑りを変えているつもりがない。変わったのは物のほうだった、と。

そして興味深いのは、その先です。

加工したブーツで1年間ずっと滑っていた人が、加工していない状態でも同じような感じで滑れるようになっていた。体が鍛えられてきていて、「こうしたらいいんだ」というのが勝手にできるようになっている。脳がずれていないから、と説明されていました。

土台がしっかりすると、その上で体が育っていく、ということなんだと思います。

土台の話

耐えられるようになったあとの表現が分かりやすかったので、そのまま紹介します。

さっきまでは平屋の土台だった。それが今は、スカイツリーくらいの基礎になっている。

だから、押されても平気になる。バランスを整えれば整えるほど、どんどん強くなっていく。

体幹がすごい人みたいでしょう、と言われていましたが、鍛えたわけではなく、土台を良くしただけです。土台が良くなれば、スカイツリーを支えられるくらいになってくる、と。

ちなみに、足のサイズが23.5から25になっていた、という話も出ていました。調整でサイズが大きくなるパターンもあるようです。

この記事の内容は、上の動画で話したことをまとめたものです。声のトーンや実例も含めて聞きたい方はこちらから。

トーションを使う、その前に

元動画「【閲覧注意】スノーボード上達したくない人は観ないでください、、、」の場面

後半で出てきた話が、個人的にはいちばん刺さりました。

トーション(ねじり)、使いますよね。僕も使います。

その場でやっていたのは、こういう確認でした。姿勢をキープしたまま、足を上げてみる。片方のトーションを効かせた状態だと、めちゃくちゃ上げづらい。引っかかる感じがして、同じ量を上げるために変な体の使い方をしている。左右一緒に上げているつもりなのに、片方が早く着地している。自然と戻してしまっているんですね。

逆のトーションを効かせると、均等な感じになる。片方はすごく楽になる。

ここからの指摘が、こうでした。

カービングの最高峰であるアルペンボードは、硬い板にメタルプレートまで入っている。あれ、トーション効くのか。効かないですよね。

じゃあ、なんでトーションを使っているのか。

板をねじらせたいんじゃない。体をねじらせたいんだ、と。

自分の体が歪んでいるから、体をねじらせないと動かせない。だから仕方なくトーションを使っている。板をねじりたいわけじゃなくて、自分の体でねじりたいだけ。ねじらないと動かないからやっている。

トーションを使え、という前に、使わなくてもいい体にするべきじゃないか。仕方なくトーションを使う状態を、当たり前にしないほうがいい。

自転車のたとえ

言われてみれば、という説明もありました。

板を持って、実際に手でねじってみる。すごく疲れるし、難しい。じゃあ、なんでそんな疲れることをやっているのか。歪んでいるからだ、と。

自転車で、最初から体をねじって曲がる人はいませんよね。もっと曲がらなきゃ、という緊急のときに初めてそうする。

なのにスノーボードでは、最初から使うことありきになっている。使うしかないから仕方なく使ってターンをしている。初動からそれをやっている時点で、大問題だ、と。

もちろん、仕方なくこれをやらないと早く曲がってくれない、という場面で使うのは全然いい。問題は、最初から前提になっていることのほうです。

無駄な動きを追加していくんじゃなくて、減らして洗練させていく。まず、使わなくてもいい状態で滑れるようにする。それが大事だ、という話でした。

「怪しい」と思う前に

この手の話、うさん臭く聞こえるのは分かります。実際、その場でも「動画で見たら絶対に嘘でしょって思う」「やらせだと思われる」と何度も言われていました。

僕も、映像だけ見せられたら疑ったと思います。

ただ、こういうやりとりもありました。

科学的なものではあるけれど、怪しいと感じるかどうかは知識の差でもある。分かる人には分かるし、知らない人には怪しく見える。それだけの話でもある、と。

そして、こういう話も出ていました。

自分の知らないものを持っている人に対して、聞きに行く、体験しに行く。それはすごく大事なこと。でも、下を見て馬鹿にしている人は、自分が成長する予約を作ろうとしない。心を鎖国してしまう。

自分から行かないと変わらない。逆に言えば、変わろうと思えば変われる。

行った側の人も、「変わりたいと思っていたから来た」わけです。

気づくのに時間がかかる

もう一つ、時間の話も印象に残りました。

その場で感覚の違いにすぐ気づける人と、そうでない人がいる。分かるまでに3年くらいかかった、という話も出ていました。真面目にやって3年、と。

そして、気づかないこと自体もセンスだ、という言い方もされていました。タイプが違うだけだ、と。

これは救われる考え方だと思います。今すぐ分からなくても、それは劣っているということではない。

まとめ

  • 調子の悪いブーツを履いた足は、体を支えきれない。調子が良くなると耐えられるようになり、コケにくくなる
  • 同じブーツでも、片方だけ指が動かない・片方だけ痛い、ということが起きる。指が動かない足の形のまま熱成形すると、余計に動かなくなり、使っているうちに痛くなることがある
  • ブーツは人間の足としてベストな形で作られている。合わないときに疑うべきは、道具の側だけではないかもしれない
  • 自分の悪い足の形に合わせて焼き直すのではなく、素材である体のほうを良くする、という考え方がある
  • 道具が変わると滑りは変わる。パワーが伝わらないブーツを履いていると、道具の大切さに気づく機会そのものがない
  • 土台が整うと、押されても耐えられるようになる。バランスを整えるほど強くなっていく
  • トーションは、板をねじりたいのではなく、体をねじらせたいから使っていることがある。使う前に、使わなくてもいい体にするという発想
  • 無駄な動きを追加するのではなく、減らして洗練させていく
  • 感覚の違いに気づくまでの時間には個人差がある。すぐ分からなくても、タイプが違うだけ

自分の場合はどうなのか

ここまで書いてきたことは、あくまで一般的な話です。

実際は、体つきも、道具も、滑ってきた時間も人によって違います。自分の場合はどうなのか、どこから手をつければいいのか。個別に見てほしいという方は、レッスンをやっています。下のどちらからでも受け付けています。

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